チャイ語倶楽部~中国語学習のコツをとことん考えるサイト~

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文法を身につけるテキスト

中国語を学問として、例えば大学などで、勉強する場合、文法書で文法を学ぶのは当然だろう。また、通訳や翻訳者といった中国語の専門家も、誤訳をしないためにきっちりと文法を学んでおく必要がある。では、コミュニケーションを目的に中国語を勉強している人の場合、文法知識はどこまで重要だろうか。

わざわざ文法に特化した書籍を使ってまで文法を学ぶ必要はないと考える人も多いだろう。しかし私は、初級テキストを終了したら、一冊は文法書を手に取ることをお勧めする。

文法なんてやってもしょうがないと思う気持ちは理解できる。ほとんどの人が中学高校と最低6年間は英語を学んで、文法知識を教え込まれたにもかかわらず、ろくに英語を話せない。しかし母語であれば、わざわざ教科書を使って文法を学んでいなくても幼児期からスラスラと話せる。ならば文法知識があることは、話すための十分条件でもなければ、必要条件ですらないと思われるからだ。

では、知識も与えられず、幼児はどうやって文法にのっとった文を作りだせるようになったのだろうか。これは、誰かの発した文の模倣を続けるうちに、自ら法則性をみつけだしたと考えるのが妥当であろう。

我々が中国語を学ぶ時にも、母語獲得と同じことができれば、文法知識をわざわざ勉強する必要はないといえる。そして私は、大量の文の模倣を行うことで、話すための文法獲得は可能だと考えている。ただし、何の予備知識もないまま文の模倣を行った場合、自ら文法を見つけ出し、体得するまでには幼児と同様に数年の年月を要してしまうだろう。しかし、事前に文の構造や構造のもととなった発想を理解したうえで、文の模倣を行えば、文法獲得までの期間を大幅に短縮できるはずである。

コミュニケーション目的で中国語を勉強している人でも、知識としての文法をわざわざ学んだほうが良いと思う理由は、ずばりこの時間短縮にある。 もう一つ言えば、成人してから外国語を学ぶ場合、どうしても母語の影響を強く受けてしまう。幼児が母語を学ぶ場合には先入観というものは存在しないが、成人が外国語を学ぶ場合には母語による先入観を完全に排除することは不可能である。母語の影響を受けた間違い文を理屈で排除するためにも文法知識はあった方がよいのである。

前ふりが長くなったが、では話すために中国語を学んでいる一般学習者には、どのような文法書が適当なのだろうか。

文法書といえば、小さな字で小難しいことが書いてあり、最後まで読破できないといった苦い記憶(?)を持つ人もいるだろう。もちろんそんな難解な文法書を勧める気はない。ここは、あくまで中国語学習者が実用的な中国語力を身につけることを支援するサイトである。一般学習者がとっつきやすいもの、また中国語文の構造とその元となる発想が感覚として理解しやすいものを選んだ。

『新感覚!イメージでスッキリわかる中国語文法』  株式会社 アルク  古川裕
『つながる中国語文法』 株式会社 ディスカヴァー・トゥエンティワン  林松涛


分厚い文法書はどうも…という人向きなのが、アルクの『新感覚!イメージでスッキリわかる中国語文法』だ。

新感覚! イメージでスッキリわかる中国語文法

索引まで入れても167ページ、厚みも1センチほどしかない。内容も俗にいう文法書とはかなり異なる。一般的な文法書は「~文とは…」といった文の構造からアプローチする。一方、本書はまずよく使われる「語句」の持つイメージを理解し、そこからどういう発想が生まれ、結果どういう文ができあがるかということを説明していく形式をとっている。目次を見てみよう。

「PART1・基本動詞のイメージ」「PART2・空間と時間のイメージ」「PART3・動詞から拡張する語句のイメージ」「PART4・モノとコトのイメージ」という四つの大きなテーマに分かれている。この見出しからも分かるように、文法書というよりも、中国語の発想を解説した本といった方がよい。副題に「文法の規則を覚える前にネイティブの感覚を身につけよう!」とあるが、まさに文法書を手に取る前に読むべき一冊だ。

我々が母語を身につける際には、必ず体験を伴う。言葉は体験時の動きや快不快や空間の感覚と一緒に記憶される。体験を通じて、語句の概念も同時に学んでいる。一方、中国語を学ぶ場合は、母語を通しての理解が中心で、体験はほとんどない。概念も母語に訳された範囲でしか理解していない。そのため微妙な意味合いまでは感覚として捉えにくいのである。ややもするとネイティブの体感覚とずれた中国語を話してしまい、相手に誤解を与えることにもなりかねない。

この感覚を身につけてもらおうというのが本書の意図であろう。説明に絵や図を多用しているのも、本来体験で身につけるべき感覚を視覚的なイメージで補おうということだ。 ただし、本書で取り上げられているのは26個の語句に過ぎない。残念ながらネイティブの持つ中国語感覚をこれですべて理解できるわけではない。だが、これまで謎めいていた中国語の感覚を理解する一助になるはずである。


さて、もう少しレベルアップしたら、一通りの基本文法も学んでおきたい。だが、ここで、難解な文法書を選ぶと、労多くして功少なしという結果になってしまう。

最も実用向きなのが、(株)ディスカヴァー・トゥエンティワンの『つながる中国語文法』だろう。

つながる中国語文法

本書は一度文法書にトライしたが、挫折した或いはあまり理解できなったという人にも向いている。というのは、一般の文法書はさまざまな文法事項を著者が思いつくままに(失礼!)項を立てて説明してあるために、知識がバラバラのまま読者の頭の中に放り込まれてしまう。往々にして最後まで読んでも、解ったような解らないような中途半端な感じがあるものだ。

しかし、本書はまず中国語の全体像を俯瞰する。骨格を語ってから細部の説明があるので、今自分が何を学んでいるのかが解りやすい。

初めて手にとってぱらぱらと中を見たときは、文字が多くて、読み終わるまでに時間がかかりそうだと思ったが、イメージしやすい説明で、眠くなることもなくサクサクと読めてしまった。

「了」の用法など、イラストや図を使った説明も詳しく、中国語の発想が腑に落ちやすい。文型によるニュアンスの違いや、似たような語句のニュアンスの違いなど、日本人には区別しにくい感覚の説明も解りやすい。著者の語り口もソフトなので、文法用語が苦手な人でも置いてきぼり感を感じることなく読み進められるだろう。

1,600円(税別)という価格も魅力だ。予算を押さえて文法書をという人は迷わずこの一冊を選ぼう。


【まとめ】

実践型の学習を続けていると、文法を無視した雑な中国語を話す癖がつくことがある。文法的な誤りを恐れて、実践の場で話さないのはナンセンスだが、コミュニケーションは度胸だとばかりに文法を軽視するのも問題だ。大の大人相手に文法的誤りをいちいち指摘してくれるネイティブは少ない。恥ずかしい言い回しをしていても知らぬは自分だけということにもなりかねない。話すために中国語を学んでいるからこそ文法にも気を使う。これが、大人たるものの姿勢だろう。


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